夢を追って上京し、繁華街でバイトをしながらやりたいことをやって生きている若者、いわゆる夢追いフリーター。
若いうちは毎日が楽しそうだが、当然ながら現実は厳しく、彼・彼女らの多くは夢が叶うことはない。
その後、いったい何をしているのか。どうやって生きているのか。
そんな夢追いフリーターの将来や末路について、夢追い人が多く働く渋谷で長年フリーターをしていた私が、知っている限り話そうと思う。
東京に集まっている夢追いフリーターの種類
まずは東京の繁華街のバイトに集まる、夢追いフリーターの種類を紹介しておこう。
売れないバンドマン
バンドマンは夢追いフリーターの最定番だろう。
渋谷でバイトしていた頃、売れないフリーターバンドマンに何十人出会ったかわからない。
一応音楽の仕事がある、テレビや雑誌にほんのちょっと出る程度の人なら何人かいたが、音楽だけで食えるようになった人やメジャーデビューした人は一人もいなかった。
役者志望・劇団員
俳優や女優を目指している役者も夢追いフリーターの定番で、バンドマンの次に多い。
事務所に入ってる人が多いので、エキストラやちょい役の仕事は全然入るみたいだが、やはり知る限りで売れっ子になった人は一人もいない。
芸人志望・売れない芸人
芸人も夢追いの定番だが、これは意外と少なかった。
テレビを見ていると売れない芸人をやっているフリーターはかなり多そうなのだが、バイトの種類にもよるのかもしれない。
というかバンドマンと役者が多すぎるだけかもしれない。
声優志望・売れない声優
意外と多かったのがこの声優。体感的に多分年々増えてると思う。
ネットで調べると普通に記事やwikipediaの個人ページが出てきたりするレベルの声優の人もいたが、やはり声優だけで食えてる人はいなかった。
食えるのはほんの一握りの世界なので、声優で成功するのはかなり厳しそうである。
店を出したいマン
自分でカフェや美容室をやりたいという夢を持っているフリーターも結構いた。
もちろんフリーターでお金が貯まるはずがなく、実際に店を出した人はいなかった。
普通に就職して金貯めて脱サラすればよいのでは…?という突っ込みは野暮なのだ。
資格・受験勉強マン
公認会計士や司法試験などの勉強をしているフリーターもそこそこいた。
資格を取って一発逆転するんだ…は昔ながらの定番である。
夢追いフリーターの将来・末路
上記であげたような夢追いフリーターたちの多くがたどる定番ルートを解説しよう。
まず、たいていの人が、30歳前後までは変わらず夢を追う。
20代前半くらいから夢を追い始め、数年~10年ほどやってみて、30歳前後で現実を見るようになってくる感じが定番だ。
そして進む進路が、だいたい以下の4パターン。
- 今現在働いているバイトの社員になる
- 別の仕事で就活・就職する
- 引き続き夢を追い続ける
- 夢は諦めるがバイトを続ける
私が見てきた感じだと、社員化が4割、別で就職が4割、引き続き夢を追い続けるが1割、夢は諦めてバイト継続が1割ってところ。
今現在働いているバイトの社員になる
社員化はそのアルバイトが大手の会社だと、ありがちなコースだ。
長年同じところでバイトをしていると、どんどんその仕事のプロになっていくし、バイトリーダー的なポジションになる人も多い。
そして店長やマネージャー的な人に買われ、現場社員化を落としどころとするのだ。そのまま現場社員→店長の定番コース。
知り合いの中にはバイトっぷりが優秀すぎて、大手の本社勤務まで上り詰めた人もいる。夢を追うためにやってたはずのバイトが一番自分に合っていたというw
ブックオフの社長だった橋本真由美氏なんかも元々バイトでブックオフに入って代表取締役までいったし、こういう成功事例もたまにある。
別の仕事で就活・就職する
夢に見切りをつけて、普通に安月給な中小企業に就職をする一番無難なコース。
長年フリーターをしていた人間がまともなところに就職するのはそれなりに難しいが、それは仕方ない。
同年代がしっかりキャリアを作っていってる頃、自分は好きなことをやっていたのだから。
ちなみに、私自身これでいったん渋谷フリーター生活を脱した。別に何も夢は追ってなかったけど。
引き続き夢を追い続ける
少数派だが、30過ぎても35を過ぎても夢を追い続ける人もいた。
いくつになっても夢を追うのは自由だし、いつか成功する日がくるかもしれないが、恐ろしい選択ではある。
夢は諦めるがバイトを続ける
夢はほぼ諦めモードだが、社員にもならず就職も探さないという思考停止組みも一定数いる。
そのまま高齢フリーターとして若いバイトに裏で弄られる惨めな生活になってしまうので、おすすめしないコースだ。
夢はだいたい破れるが、なんだかんだみんな就職する
長年見てきた感じだと、やはり夢は基本的に叶わない。
夢を叶えるどころか、夢に関連する業界で働くことにもならない人がほとんどである。
しかし私が見てきた限りでは、なんだかんだほとんどの人が30歳前後あたりで現実を受け止め、どこかしらに就職していく。
そりゃそうだ。仮にバイトはずっと続けられたとしても、一生月15~20万くらいの収入で暮らしていくのは辛すぎる。
年齢がきっかけで現実を考え出すパターン以外にも、バイト内で彼女ができて将来を真剣に考え出すパターンも多い。
フリーター中に子供できちゃって、慌てて就職活動をしだした人も何人かいたかな。
当時のバイト仲間とたまに会うことがあるが、夢を追っていたことは今では笑い話・思い出話として語り合ったりする。